生きていくってこと: 2009年10月 Archives
この1週間、本当にヘビーだった。心身ともに疲れきった。そして明日から急遽香港へ。日曜の夜に出て、月曜日に現地で仕事をし、火曜の朝、現地を立って日本へ戻る。何とも強行軍。ふう〜
そんな渡航前日の土曜日も夕方まで仕事。でもその後はたまには気晴らし! 大好きなミュージカル俳優、市村正親主演の『屋根の上のヴァイオリン弾き』を見た。市村色が満載な素敵な作品。楽しくもあり、そして哀愁漂う最後のシーンも感動を呼ぶ。

でもそんな数時間の楽しいミュージカルを終えれば、いきなりリアルな世界。メールもいろいろ入ってる。またディープな世界に逆戻り。ふう〜
そんな夜、最後に行き着く場所は、いつものナイショのバー。ミュージカルを終えて移動する間にすっかりと元のヤサグレた世界に戻ってた僕の心をリセットすべく、まずはワイルドターキーのライでハイボール。まさにギュッとした苦み迸る感がヤサグレ者のハイボールって感じがする。

そして、ちょっとむしゃくしゃしてたし、来週ニコルスさんに会うかもって話もあるので、このナイショのバーにもニコルスがあったのでボトルで開けちゃった! 1999年のエドナ・ランチ・ヴィンヤード。
素晴らしいの一言! 芳醇な香りがカウンターの周りを漂う。これだけ素敵なワインになると、ブルゴーニュだとかカリフォルニアとかっていう議論自体が意味がなくなるね。奥が深く、その裏にある果実味の広がりも素晴らしい。

またまた大好きな東京X豚のハンバーグを食べちゃった! このソースにニコルスが最高の組み合わせ。
最後に洋梨と巨峰をデザートにつまんだ。合わせたにはプリミスっていうイタリアはプーリア州のシャルドネ。イタリアのシャルドネってかなり珍しいけど、このプリミスはきれいな酸と心地よい柑橘香が芳醇で、とってもお洒落なシャルドネ。

と、気付けばまたまた遅い時間。今日は日中はめちゃめちゃディープな仕事デーだったけど、夕方以降はちょっとだけでも自分を解放出来た素敵な夜。
市村正親とナイショのバーに感謝です!

これを見て思う。1つ1つの力は小さくとも、同じベクトルに向かって力を束ねれば、驚くほどの力が出るってことを。
いま、世間は未曾有の大不況。ビジネスでは有り得ないことが起こり続けてる。普通にしてたら生き残れない。いまこそ、経営者も社員も、そして世間の大人たちみんなが、みんな束になって力を結集し、日本経済を復活させ自分たちも生き延びる執念を持たない限り、時代に飲み込まれてしまう。
子供たちの熱演を見ながらそんなことを思った日曜日のひととき。

そんな夜のワインは、ボルドーの銘酒『シャトー・ペトリュス』のオーナー、クリスチャン・ムエックスがカリフォルニアで立ち上げたスーパーワイナリー『ドミナス』のセカンドワイン、『ナパヌック 1998』。
ドミナスは1983、1984、1985、1989、1996、1999年と、それぞれ数本ずつストックしてるほど大好きなワイン。まさに理想のボルドーワインをナパの地で造ってる。
そのセカンドワインとなるナパヌックは初めて飲む。19世紀から続く名門中の名門のワイン畑「イングルヌック」の地で立ち上げたナパヌック。ナパの伝統と歴史を背負ったワイン。
今夜のナパヌック、1998年なので11年を経過してるんだけど、まさに深く静かに熟成したという感じのワイン。どこにも無駄な刺々しさはなく、でも腰は砕けてない。時間とともに深い森の奥の森林香、ユーカリやミントなどの香りも出てきた。
とても奥深く、懐深いワイン。これが歴史なのかな〜 ちなみにムエックスは最近、第3のワイナリーとして『オテロ』を立ち上げてる。これまた深いワインです!
日中は子供たちから勇気をもらい、そして夜は19世紀から続くワイナリーの歴史の重みから元気をもらい、明日への英気を養った夜です。

僕が主宰するジャズレーベル『ハートノート(HeartNote)』。5枚のアルバムを2002年〜2003年に発表した。5枚のうち、3枚がハートノートとしての独自レコーディング。他の2枚は海外レーベルからのライセンスとレアな発掘物。

その3枚の自社レコーディングすべてに参加してくれた僕の最高に好きなベーシスト、成重幸紀さんが参画した新しいCDが出た! その昔、吉田賢一トリオって素晴らしいピアノトリオがあったんだけど、その再結成に近いメンバーでの録音。『Jazz for Children/野口迪生カルテット』。ドラムの野口さんのリーダーアルバムの形になってるけど、まさに吉田賢一&成重幸紀の名コンビの復活作! スタジオ・ジブリの作品をジャズにしてる楽しい作品。

このCDを聴きながら、南仏ローヌ地方でもかなり南の地、ケランヌのワイン『ドメーヌ・サン・タンデオル コート・デュ・ローヌ・ヴィラージュ ケランヌ 1999』を開けた。南仏最大の観光地、マルセイユにほど近いケランヌ、そこで樹齢60年以上のグルナッシュや樹齢100年以上のカリニャンなどから造られた逸品。
グルナッシュが60%、シラー 30%、カリニャンが10%と書いてあったけど、グルナッシュから来るであろう濃さや凝縮感はそれほどでもなく、どちらかと言うと上質なシラーのワインって感じがする。
素敵な南仏・ケランヌのワインを飲みながら、大好きな成重幸紀さんの演奏を聴く。まさに至福の時。
ワインとジャズ、こりゃ最高に素敵な取り合わせです!

外資系企業って怖い!! 大変お世話になってる外資系企業にて、ある日突然、米国本社主導のクーデター(!?)が発生! 日本人経営者をはじめ、彼を支える幹部総勢5名がたった1週間の間に解任された。さすがにたまげた....

木曜日、そんな厳しい外資の風に当って解任された幹部社員の方と飲んだ。まあ、いわば”お疲れ様会”。場所は縁起のいい場所ってことで広尾のグレープチョイス。
オレゴンの素敵なピノ、トリイ・モアからスタート。
トリイ・モアは柔らかく人の心を包み込む。果実味もたっぷりとしていて包容力のある素敵なワイン。今夜も会話を盛り上げる上で大活躍!

そしてシメは「キャラバン」。大好きな大好きなダリオッシュのスーパー・セカンド。ダリオッシュ本体ほどの濃さ、強さ、深さはないけど、でもギュッとした果実の凝縮感は素晴らしく、逆にダリオッシュより一歩控えめな渋みと重みが実に素敵なワインです。
それにしても世の中、何が起こるか解らないね〜〜
素敵なワインで憂さを晴らし、さ、明日からお互いに気持ちを切り替え、これからもいっしょに仕事出来るよう、いろいろ考えよ〜っと!
月曜日、祝日にもかかわらず、仕事... 都心で打ち合わせた後、客人と向かった先は、今も昭和初期に建てられたレトロな建物で営業している老舗のホテル、『山の上ホテル』。

お茶の水の裏手にひっそりたたずむこのホテル、天ぷら『山の上』、メインバー『ノンノン』、ワインバー『モンカーヴ』、それぞれがとっても有名。また神田、神保町近辺という場所柄、著名な作家が長期滞在したり缶詰になって原稿を書いたりすることでも有名。川端康成、三島由紀夫、池波正太郎などここを定宿としていたらしい。僕はこの山の上ホテル、今夜が初体験です。
まさにレトロな佇まい。そしてレトロな天ぷら屋。でも並の天ぷら屋と違うのは、ワインバー『モンカーヴ』があるからこその、何ともグレートなグラスワインの数々。
今夜はシェリーからスタートし、白はシャサーニュ・モンラッシェ、赤はブルゴーニュの至宝、モレ・サン・ドニを一杯飲み、最後は「夜間飛行」や「星の王子さま」を書いたフランスの作家、サン・テグジュペリのお爺さんが所有していたというマルゴー村の名門『シャトー・マレスコ・サン・テグジュペリ』。

いや〜、こんな凄いワインがグラスで開いてる天ぷら屋はないよね! 素晴らしい! もちろん天ぷらも最高! サクッとしていて素材の旨味が活きてる。キスの天ぷらとか、もう至極の作品。小タマネギ(ペコロス)も甘みがあって素晴らしい。ワインに合わせるミモレットのスライス(写真)があるのもお洒落。
食べ終わった後、すぐ横、著名人が飲むと言われる小さな小さなバー『ノンノン』へ立ち寄る。古い洋館の蔦の香りがするかのようなバーです。
初めて立ち寄るバーでは、まずはその店の味を見るため、マティーニからスタート。造り手の彼のキャラを反映してるかのような、実に柔らかいフワッとしたソフトなマティーニ。旨い!

そしてもう一杯、シメのカクテルは、このバーのオリジナル『ザ・ヒルトップ』。どこか懐かしい感じの味わいで、お洒落な味わい。
と、休日に哀しく仕事ではあったけど、最後に昭和初期の香りのする素敵なホテルで素敵なディナー&バーに巡り会った素敵な夜でした。
ちなみにこのホテル、「山の上ホテル物語」ってな本にもなってます。
歴史の重みを感じる夜です。

僕の仕事の中で記憶に残る大事な人とアバスクで久々の再会。たぶん1年ぶり。
バスク地方イルレギー(Irouleguy)で造るレアな白ワイン『エリ・ミナ(HERRI MINA)』からスタートし、スペインの国宝級ワインと言われる『ヴェガ・シシリア ウニコ 1991』へ。
エリ・ミナは爽やか、かつシルキー。そして『ヴェガ・シシリア ウニコ 1991』はどこまでも奥深い。高貴なブルゴーニュのワインのよう。敬虔なる至高のワイン。

最後にもう1本。さすがにヴェガ・シシリア ウニコがあまりに美し過ぎて、そして深過ぎて、同じ系統には行きづらい。あえて方向をまったく違う方へ向けた。
開けたのはバスク地方、マディラン地区の『シャトー・モンテュス』。ヴェガ・シシリアがきれいなワイン、美しいワインだったのに対し、こちらのモンテュスはグッと強くてしっかりとした味わい。そして凝縮感は高いんだけど、ドライフルーツのような凝縮感じゃなく、もっともっとずっと繊細なワイン。
シメは食後酒のオンパレード! みんなで違うものをオーダーし回し飲みして楽しんだ。

素敵なワインを飲みながら素敵な仲間と語る夜。気付けば午前1時半!
人と人の縁は不思議だし、そして素敵です。もう逢う機会もないかと思った人とこうやって飲んでる。人の未来は予測出来ないけど、その予測出来ない未来に起きるであろう出来事って、結局は自分の人付き合いが引き付けてくるもの、引き(魅き)寄せてくるものなんじゃないかって思う。
そんな事を考えた素敵な夜でした!