生きていくってこと: 2009年1月 Archives

日曜の夜はシリコンバレーを想い出すワイン。2002年~2006年、ビジネスでシリコンバレーに行く機会が多かった。ベンチャー企業にも行ったし、そしてアップル本社などにも何度か出掛けた。

僕の会社もいろいろな事があった。シリコンバレーに刺激され前に突き進んだ時期もあった。でも2007年3月末、ほぼすべてのシリコンバレー関連のビジネスをクローズした。今は日本の日々のビジネスに集中してる。

僕はカリフォルニアの底抜けに明るい青い空が大好きだ。サンフランシスコの空港に降り立ったその瞬間から、この青い空が目の前に広がる。彼らの自由さがビジネス面ではアダとなる事も多かったけど、その自由が素敵だったし、そんな思い切ったビジネススタイルになれない僕らからすると憧れだった。

ヴェリテ ラ・ジョワ2005年4月、シリコンバレーへの帰りにサンフランシスコの空港で超レアなワインを買った。今夜はそれを開けた。ソノマのカルトワイナリー、ヴェリテが造る『ヴェリテ ラ・ジョワ 1998』。1997年に立ち上げたワイナリーなので、実質この1998年がたぶんファースト・ヴィンテージ。

スーパーボルドーを目指し3つのラインナップを持ってる。ボルドーのトラディショナルなポイヤック・スタイルを追求した今夜の『ラ・ジョワ』、ボルドー右岸系ポムロールを意識した『ラ・ミュゼ』、同じくボルドー右岸系サンテミリオンを意識した『ル・デザイア』の3つだ。今や北米でも入手困難なレアワインとなってる。

僕もこのヴェリテを飲むのは初めて。10年以上経過してから飲もうと思ってずっと大事にセラーで保存しておいた。他の2種類も飲んでみたいけど、日本では入手困難。

今夜のラ・ジョア、開けたその瞬間から深い森の香りが周囲に立ちこめる。森林浴、ユーカリやミントなどの香り、そしてしっかりとした樽香、かすかなタバコのような煙さなどなど、ブラインドテイスティングだったらボルドーの特上のワインと言いそうな出来栄え。素晴らしい!

その頃はシリコンバレーに行くと常宿(市内のヒルトン)の近くにあるワイン専門店や空港で珍しいワインを買い込んだもんだ。特にヒルトン近くの専門店はレア物を多数持っていたし、そして何よりヤマト運輸と提携してたので日本へ輸送もしてくれた。

ラ・ジョワを飲みながら、シリコンバレーの青い空を想い出した夜。

レイ・ルイス・フェリペあの地に赴任すると帰りたくなくなって居付いちゃう連中が多いと言う。解る気がする。何かを生み出すには最高の地。いまは身動き出来ないけど、いつかはまたシリコンバレーと接点を持つ仕事がしたいな~

新しい事にチャレンジし放題だったイケイケの2000年代前半。そして仕事だけじゃなくプライベートでもジャズレーベル『ハートノートHeartNote)』を始めたり友人たちとカリフォルニアワインのレストランを手掛けたりとイケイケだったあの頃。そんな古き良き時代を思い起こしながら、最後の締めにスペインはシェリーの産地ヘレスのブランデー『レイ・ルイス・フェリペを開けて夜は更けた....

あっという間にお正月休みが終る。明日は仕事始め。この世界一斉の大不況の中の仕事始めはさすがに憂鬱になる。

でもまさか社長の僕が憂鬱な顔で出社は出来ないし、皆に元気を与える側にならなきゃいけない。僕自身に元気を注入する意味で、そしてもう一度初心に帰って『良い仕事』をするために、初心に帰るワインを飲んだ。

パルメイヤー 前にも書いた通り、僕は1988年に会社を創業したんだけど、1992年、バブル崩壊に伴い、一旦大きな挫折を味わっている。それでもそれから7年、自分の技術を信じ一人でコツコツ頑張っていたら、1999年、急に視界が開けた

そして迎えた2000年のミレニアムイヤー。この年はいろいろあった。1月には幼少の頃より片親で僕ら兄弟を育ててくれた母親が親孝行する前にまさかの60代での逝去。5月には社員2名の会社に新たに2名社員が加わり、僕を含め総勢5名になった。夏には1990年代のバブル崩壊の負の遺産がすべて処理が終わり一息ついた。そしてそれ以降、仕事一筋に集中した。

この時代、本当に毎日、仕事が楽しかった。ワクワクしながら仕事をしてた。5名なら、どういう状況でも食べさせていけたし、時代は急速に映像のデジタル化を迎え、請ける仕事自体も内容がめちゃくちゃ斬新で面白かった。

この頃のワクワクしていた気持ち、会社に夢をかけた気持ち、社員と連帯感を共有していた時の気持ちを再度想い出すべく、その頃のワインを今夜、開けた。人間、沼地に足に盗られた時には初心に立ち返るのが一番!

パルメイヤー開けたのは大好きな大好きなパルメイヤー。空のボトルだけで数Kgある重量級のボトルに入った崇高なワイン。ボルドーとかカリフォルニアとか、そういう小さな議論が無意味になる究極のワイン。深い森の奥で静かにグラスを傾ける、そんな空気感。ユーカリやミントなどのカベルネ・ソーヴィニヨン特有の香りに加え、土からくるであろうミネラル感、うまく醸造したからこその程良い渋味。正月休み最後の夜に相応しい最高のワイン!

パルメイヤー コルクには驚くほどの酒石酸がガラス粉のように付いている。エチケットには、アメリカには印鑑の文化はないとは思うんだけど、朱肉で押したかのような年号スタンプ。そしてキャップシールの根元には自身の存在を示すかのような年号、アルコール度数を示すリング場のシール。本当に崇高なワインという表現がピッタリ。

高貴で崇高なパルメイヤーに背中を押されるような感じで明日から会社。さ、新年が始まる。頑張らないと! 世界の大不況、生き残るも消え去るも、自分たちの努力次第。初心に帰って日々丁寧に着実に、かつ大胆に仕事を推し進めて行くつもり。そして、必ずや勝ち残って来年の正月にはまたこのパルメイヤーを開けるんだ!

ファイト~、オ~~!

1月1日。ついに2009年が幕を明けた。激動の2008年を経て2009年はさらに激動の年になりそうな気配。生き残るもの、去るものがはっきりと別れるであろう新年。

今年の僕のビジネスでのキーワードは『愛と調和と挑戦!』。特に先頭の「愛」。僕の会社も事業規模だけはデカくなってきたし社員数も増えてきた。いろいろな人と関り合いを持つ中で、一番大事なのはお客様や仲間やパートナーさんなどを愛すること、慈しむこと、尊敬すること、感謝することの4つだと思う。

昨年、あまりに激動の一年だったからか、僕は柄にもなくキリスト教とか仏教とか哲学とか、少しそういった思想系の書物を読んだりした。いろいろ読んだ僕の現時点での結論は、どの宗教も表現が違うだけで言っている事はいっしょで、人を愛すること、慈しむこと、尊敬すること、感謝することの大事さを解いている。

一人の人間に出来る事は、例えその人がスーパーマンであったとしてもせいぜい数人前の仕事まで。回りの協力をどれだけ得られるかが勝負。その回りの協力を獲得するには、単にお金や名誉だけでは誰も本心では動いてくれない。相手を愛すること、慈しむこと、尊敬すること、感謝することが出来なければ誰もついて来ない。

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元旦、地元の池上本門寺に初詣に出掛けたんだけど、素晴らしい言葉が垂れ幕にかかっていた。

いのちに合掌

心に響く言葉だ。みんな、生きるために働いてる。生きるために稼ぎ、ご飯を食べ、遊び、そして眠る。生きてることに合掌! 生きていくことに合掌! そうだよね~

そしてこの未曽有の不況を生き残るためには、顧客や仲間やパートナーを愛し慈しむ事ができた上で、それら周囲の人々と調和し、そして不況下でも守るだけじゃなく得意な領域では攻める勇気がなければ生き残れない。攻めることをやめた時に会社と人は退廃する。

ということで、今年の僕のテーマは『愛と調和と挑戦!』。頑張ります!

シャトー・クレール・ミロンと気合いを込めたお正月、今年の最初のワインは慈しみ深いワインを!、と考えて選んだ。珍しくボルドーです。選んだのは、ボルドーの格付け5級『シャトー・クレール・ミロン 2001』。

このワインはとっても慈しみ深いワイン。世界の金融界を牛耳るユダヤ系の財閥「ロスチャイルド家(最近では原語読みを尊重してロートシルト家)」。このロートシルト家が持っているボルドーの最高のワイナリーが、よく知られたシャトー・ムートン・ロートシルトシャトー・ラフィット・ロートシルト。そのロートシルト家の隠れたもう1つのシャトーが今夜のシャトー・クレール・ミロン

シャトー・クレール・ミロン このワインのエチケット、印象的でしょ! この絵は若い男女の結婚の儀式を描いてる。それは単なるイラストじゃなく、ロートシルト男爵と奥様の結婚を描いていると言われてる。

ロートシルト家はユダヤ人。第二次世界大戦のさなか、ナチス・ドイツのゲシュタポに追われ家族は離散する。男爵はフランスに生き延びるが奥様は獄中で壮絶な死を遂げる。戦後、ロートシルト男爵はナチスに追われたはずの娘と劇的に再会する。男爵とその娘が、今は亡き妻への愛を込めて荒れ果てたワイナリーを再建させたのがこのシャトー・クレール・ミロンロートシルト男爵の愛と諦めない強い心により立ち上がったワイナリー。

愛と慈しみと諦めない強い心を持つロートシルト男爵のワイナリー復活史を想いながら飲むワイン。ボルドーらしい深い森林香、ユーカリやミントなどの香り、そして人を瞑想に導くかのような静けさに包まれたワイン。

この素敵なワインを飲みながら、今年一年、『愛と調和と挑戦!』をキーワードに闘い抜こうと想った夜。

さ、年が明けた! 頑張るぞ~~~ 皆さんも不況に負けずに頑張って下さい!

 

PS. 正月に読んだ本の中であまりに良い言葉があったので、皆様の勇気につながればと思い、ここに転記します。

ダライ・ラマ『ゆるす言葉』より

「経済は大切です。しかし、人間性はもっと大切です。人権や環境問題など、経済より大切なことはたくさんあります。利益を求めてビジネスの世界で関係を築いていくときにも、大義を見失わないことが肝心です。」

「愛と慈しみこそ、まさに社会の礎(いしずえ)となるものです。こうした感情を失ってしまうと、社会に恐るべき苦難をもたらしてしまいます。人間の存続さえ危機にさらされるかもしれません。」

「非常につらい時期を経験すると、私たちは冷淡な態度をとったり絶望を感じてしまったりすることがあります。言うまでもなく、それは非常に悲しいことにほかなりません。しかし状況のとらえ方によっては、それは私たちが開眼し、真実を見きわめるチャンスでもあるのです。」

「自信を喪失してはいけません。人間は皆、同じ能力が備わっています。”私は価値のない人間だ”と考えるのは、間違っています。全くの誤りです。自己を欺いているのです。私たちは、誰でも考える力が備わっています。これ以上、何が欠けているというのでしょうか。意思の力があれば、何でもできるのです。しかし、自信を失い、”私のような者に一体何ができるのか”と思うなら、成功への道は閉ざされてしまいます。」