ワインのある生活: 2015年2月 Archives
昨年11月、展示会への出展などがあり、長期でパリに出張した。11月1日(土)に日本を発ち、同日の夜遅くにパリに着き、8日(土)の夜の便で帰国したんだけど、いや〜、とにかく忙しくって、まともにレストランにも行き着けない日々。

そんな中、ホテルの目の前のホームページもない小さいけど素敵なビストロ「La Corail」に5夜も夕飯のお世話になった。ビストロと言えば聞こえがいいが、日本語で言えば居酒屋。でもそんな居酒屋に癒された。

1日(土)は長旅の末、22時過ぎにホテルに到着。同僚は疲れ果てて機内食だけで十分でもう寝るという中、僕はお腹が減ってたまらず、でもパリもこの時間になると繁華街のど真ん中まで出て行かないと中々開いてる店も難しい中で、何とホテルの斜め前に小さなビストロが!!
ダッシュで駆け込みました。中々に小洒落た店です。
でも想定内だったけど、スタッフはほとんど英語が通じない。ま、メニューも何となく解るし、ワインリストもまあ読めるので、特に問題なし!
ということで深夜の夕飯がスタートした。
開けたワインが初日から中々にレアな日本では飲めない、かつカジュアルで素敵なワインです!

まず、地域が珍しい。南仏ローヌ地域の南部で「ボーム=ド=ヴニーズ(BEAUMES-DE-VENISE)」という村。ジゴンダスの南に隣接する村らしいけど、ミュスカを使ったやや甘口の白ワインで有名。

この地の赤ワインというのが珍しい。たぶん日本では手に入らないのでは??
開けたのは、DOMAINE LA FERME SAINT MARTINというワイナリーの「Les terres jaunes 2013」というもの。ワイナリーのサイトを見ると、グルナッシュ 75%、シラー 25%。まさに南仏のワイン。

地下には素敵なセラーがあるし、建物も素敵なワイナリー。

味わいはとっても穏やかで、まさに南仏で太陽の陽射しを燦々と浴びたブドウから造られたであろうことが解る素敵なワイン。
オニオングラタンスープとフィレのステーキでこのワインを楽しみました。

オニオングラタンスープも場末のビストロとは思えない本格的なものだし、ステーキも見ての通り、極上!


このオニオングラタンスープとフィレのステーキは連日食べ続けることになるのですが、パリ到着のこの夜はまだそれを知る由もなかった。


続く2日(日)は、朝食もここLa Corail! ベーコンとチーズの乗った素敵なトーストをいただいた。このLa Corail、朝の8時から夜も24時近くまで開いてるんだよね〜 完全に地元密着型。夜もフラッと入って来る独り者が多い。


この夜は同僚が長旅の疲れで発熱し、僕はまたもや一人で夕飯。日本を発ってから野菜を食べてないので中華に入ってみた。でもこれが世紀の大失敗!! 料理は油が強過ぎるし、飲み物に至っては外のメニューにはいろいろ書いてあるのに青島ビールしかないし。ったく〜


たまらずすぐに店を出て、ホテル斜め前のこの店「La Corail」に飛び込む。
英語が通じないスタッフとの会話の中でも、指を指して店から見えるダメダメ中華で外れたことを伝えると、何となくボディーランゲージで様子は伝わり、「あそこはダメだよ〜〜」みたいなリアクションで爆笑され、そしてやり直しなディナーがスタート!
今夜のメインは鴨のコンフィ。これまた場末のビストロとは思えないまさに”作品”。美味過ぎる!!

ワインはボルドーのサンテミリオンの北部、これまた日本ではあまり手に入らなそうなモンターニュ・サン・テミリオン(MONTAGNE SAINT-ÉMILION)地区のシャトー・オーグジョン(Chateau Haut-Goujon)の「LA FLEUR DU BARRIL 2011」というワイン。ワイナリーのサイトからすると、たぶんわりとカジュアルなワイン。

裏面を見ると、メルロー 100%。まさにボルドー・右岸のワイン。

でも本場サン・テミリオンのワイン、実に奥行きのある深い味わい。極上の鴨のコンフィに極上のワインに感動です!

2日目のパリもこのLa Corailのお陰で素敵な夜を過ごせました。感謝!!

そして迎えた11月3日(月)、パリ滞在3日目が、これまた大変だったな〜
この日は展示会の準備を終え、夜は客人に「福知山」という和食の店に連れて行かれた。まさに”拉致”!

これが店名は福知山だけど日本人シェフが居るわけじゃない怪しげな鮨屋。う〜ん、食べれない。シャリはオニギリかってほどの量だし、ネタも醤油もイマイチ。

食べたふりして食べず、宴会が開いたらすぐにまたホテル斜め前のLa Corailに駆け込む。まさに困った時の駆け込み寺。もうこれで3日連続して来てる。


この日は外はしとしとと雨が降っていた。そして遅い時間にも関わらず店は混んでおり、僕は3日目にして初めてテーブルじゃなくカウンターに座った。これまた素敵で小洒落た空間。さ、まずはジャンパン!

壁面ではサッカーの中継が流れてる。まさにフレンチレストランじゃなくビストロな世界。

今日もワインを開けるぞ〜〜と勢い込んで開けたワインは、南仏の大好きなドメーヌ、シャプティエの「Petite Ruche Crozes-Hermitage 2012」。シラー 100%のまさに南仏のシラーらしい太い骨格がありながらも繊細なワイン。

今夜もガッツリとフィレのステーキでこのワイン! これでこの3日、フィレ、鴨のコンフィ、フィレと肉続きですが、本当にどれも柔らかくって旨味たっぷりで素敵な逸品。

4日(火)は展示会初日。展示会が終了後、会場近くのホテルで客先のパーティーがあり、素敵なフレンチをご馳走になった。なのでこの日はパリに来て初めてLa Corailの出番は無かった。
5日(水)は展示会で丸一日立ち続け英語で対応し続け、ヘロヘロになってホテルに戻り、そして夕飯はもうどこかに出掛ける気力もなくLa Corailへ。これで滞在5日で4回目の来訪。
まずは疲れ果てた心と身体をシャンパンで癒す!

そしてメインのワインとして選んだのは、シャプティエの中でも最高の地域、コート・ロティの「レ・ベカス(Le Bécasses COTE-ROTIE) 2011」。4回目の来訪のして、初めてプレミアムクラスのワインを選んだ。

さすがにこのクラスのワインになると、店側もデキャンタージュすると言い出した。出来てたデキャンタにビックリ! まさに巨大なワイングラスのよう!

そしてこのワイン、もちろん美味い! 最高です! シラー特有のスパイシーな香りは穏やかで、そしてとても2011年とは思えない落ち着いた味わいに感動します。
この日は同僚も一緒だったので、お料理はいろいろ取り分けて食べられる。

まずはエスカルゴ。スープが美味いな〜 日本で食べるエスカルゴとは格が違う感じ。

そしてスープもポタージュ系とオニオングラタンスープの2種類を楽しむ。これまた最高!

そしてメインは、夜のLa Corailに来るのが初めての同僚のために美味しかったフィレのステーキと鴨のコンフィの両方をオーダーし食べ分けた。どちらも最高!


そして4回目にして初めて、シメのカクテルをオーダーしてみた。もちろんボンド・マティーニ、通称ヴェスパー・マティーニ。中々言葉が通じないが、取りあえずウォッカベースのマティーニって事は伝わったっぽい。

レモンの皮から出るオイル分が上手く使われたしっとりとした大人なマティーニ。

そういやフランスでマティーニ飲むの、初めてかもね〜 美味かったです。
こうしてパリ滞在5日目で4回目のLa Corailな夜は更けました。


翌6日(木)はハリーポッターと賢者の石なレストラン「オーベルジュ・ニコラ・フラメル(Auberge Nicolas Flamel)」、7日(金)はナポレオンの生まれた島・コルシカ島のお料理の店「La Villa Corse」へと、ようやくまともにパリの夜を満喫。
そして迎えたパリ最後の日、8日(土)は夜21時過ぎのフライトゆえ、昼間、少しは街を散策。初めてまともに時間が取れた。

空は晴れ渡り、気持ちの良い日です。


ランチはサン・ミッシェル橋のたもとの「Le départ Saint Michel」で食べました。ここも中々。


オニオングラタンスープとハンバーガーなランチ。でもハンバーガーは中々美味かったけど、オニオングラタンスープは我がLa Corailの勝ちだな〜


食後には、ノートルダム大聖堂で献花ならぬ献蝋燭をし、ここからの未来に祈りを捧げる。



それからホテル近くまで戻り、まだ17時だけど飛行機の搭乗時間から逆算し、連日お世話になったLa Corailで最後の夕飯。

まだ日も明るくディナーな感じでもないけど、ともかくどうしてもここで食べたかった。

まずはシャンパン!

そして開けたワインは、「シャトー・グラン・ピュイ・ラコスト(Château Grand Puy Lacoste) 2008」。

デュクリュ・ボーカイユのボリーファミリーがポイヤックに所有している素敵なシャトー。


もちろんあのデッカいグラス型のデキャンタが出て来た。


前菜はスモークサーモン。

メインは毎度のフィレのステーキに鴨のコンフィ。

食べ納めだ〜〜

いやはやこの8日間、本当にLa Corailにはお世話になりました。泊まったホテルはレストランも無いひなびたホテルだけど、斜め前にLa Corailがある限り、次もこのホテルに泊まるぞ〜〜
La Corailのお陰で素敵な素敵なパリ物語な旅でした。



ナポレオンの生まれた島として有名なコルシカ島。地中海に浮かぶこの島は、紀元前は地中海貿易の中継点として栄え、そして歴史的には中世はイタリア領、その後フランス領に変わって数奇な運命を持つ島。サルディーニャ島のすぐ上に位置してる。


公用語はフランス語だけど、コルシカ語という地元の言葉もあるし、18世紀の独立戦争の際に制定されたコルシカの国旗(以下)もある。ちなみに日本コルシカ協会って団体があるんだよね〜

そんなコルシカ島の料理の専門店『La Villa Corse』に3年半ぶりに出掛けた。ワインはもちろんのこと、ミネラルウォーター、野菜や生ハム、そしてオリーブにオリーブオイルまで、食材はすべてコルシカ島のもの。

幻想的な光を灯した店内は美しいという言葉以外に表現のしようがないほどのレストラン。

最初のスパークリングを1杯いただいた。これもコルシカ島のものだと思うんだけど、銘柄がチェックできなかったな〜

続いてはCorse Clos d'AlzetoのL'ALZETOというロゼ。

ブドウが地場品種で、「Sciaccarello」というもの。どうやら「シャッカレッロ」と発音するっぽい。

このブドウが使えるアペラシヨンはコルシカ島に限るとか。こんなブドウです。

ガス入りのお水もコルシカ島のOREZZAというもの。爽やかな泡が喉越しに心地よいミネラルウォーターです。

そしてピクルスももちろんコルシカ島産。

お料理は、まずは何と言ってもコルシカ島の生ハムにチョリソの盛り合わせをいただく。旨味たっぷりで美味いのなんの。

そして続いては、たぶんアンティチョークをベースにひき肉などを使ったプレート。メニューもフランス語だし、店員さんも片言の英語なので何ともよくわからないけど、ともかく美味しいからいいね!



さて、ここでお肉に合わせるメインの赤ワインを選んでもらう。出て来たのは、ドメーヌ・フィウミチコリ(Domaine FIUMICICOLI)というワイン。

ブドウがニエルキオ/シャカレッロ/シラーとなってた。シャッカレッロはさっきのロゼで使われてた地場のブドウ。ニエルキオは「Niellucio」と綴るらしく、イタリアのサンジョヴェーゼのコルシカ島での名称らしい。
重々しい香りがするが、味わいは優しくフルーティー。まさに地中海の風を感じるワイン。
このドメーヌ・フィウミチコリに合わせるお肉は、ガッツリとポーションも大きなステーキ! 見るからに肉厚でデカい!

ステーキとワインの幸せな関係に思わず頬が緩む。
シメはデザートじゃなくチーズをいただき、そして銘柄は確認できなかったけど、片言の英語でも僕のワイン好きを知ったスタッフが気を利かせ、コルシカ島で造るブランデーのようなものを出してくれた。


そしてなぜか僕の背面には図書館のような壁がある。

このレストラン、入って右側の客席の壁が図書館のようになっていて、本がたくさん入ってる。実に不思議な光景。



まさにコルシカ島に迷い込んだかのような異次元空間の世界をお料理とワインで旅した気分です。

何とも素敵なレストラン。一生記憶に残るレストランだな〜 また来るよ〜〜
