ワインのある生活: 2011年4月 Archives

今夜のジャズは帝王マイルス・デイビスの「セヴン・ステップス・トゥ・ヘヴン
」。
僕の生まれた翌年、1963年の作品。2日に分けてニューヨークとハリウッドで録音されており、各3曲ずつ、交互に配置されている。
特に注目は、ニューヨーク側のメンバー。後にV.S.O.P.クインテット
として一世を風靡するハービー・ハンコック(pf)、ローン・カーター(b)、トニー・ウィリアムス(ds)というメンバーが初めてマイルスと組したアルバム。
小気味よいリズムにマイルスが乗って行く姿が目の前に浮かぶようだ。この時トニー・ウィリアムスはまだ弱冠17歳。何とも天才だな〜
ハリウッドチームも面白い。ピアニストであり作曲家でもあるヴィクター・フェルドマンがピアノを担当してる。そもそもタイトル曲「セヴン・ステップス・トゥ・ヘヴン」がヴィクター・フェルドマンの曲。

そんな素敵なジャズを支えるのは、大好きなニコルスのピノ「エドナ・ランチ・ヴィンヤード」。それも1997年!
このエドナ・ランチとは、昨年僕が仕事で訪問したサンルイス・オビスポの有名なブドウ園らしい。
もうこれは幸せの極み。この世の物とは思えないような深みと艶。以前、グレープチョイスでニコルス本人と飲んだ事があるんだけど、その夜のことを想い出す。
長期熟成で実にきれいに熟成したピノは崩れ落ちる寸前の輝きとも言うべき、ある種の不思議な輝きを持つ。深いな〜
マイルス・デイビスのセヴン・ステップス・トゥ・ヘヴンとニコルスのピノ。何とも言いようのない幸せな空間が目の前に広がる。
ニコルスさんからもらった90年代のカベルネ・フランが1本ある。これを飲むのが実に楽しみ。
ニコルス、美味い! このピノはあと残り2本。大事に大事に保存しておこう!

今週はいろいろな意味でヘビーだった。
この厳しい状況で僕を支えてくれる頼れる女史2名と今宵は武千代でシャンパンな夜です。
ヴェルズネイ村でラルマン夫妻が運営する小さなドメーヌ、ドメーヌ・ジャン・ラルマン(JEAN LALLEMENT)がピノ・ノワール 100%で造るロゼなシャンパンです。
とても柔らかいシャンパン。
泡が舌を刺激するんだけど、何ともそれが柔らかい。ガス圧が低いという柔らかさじゃなく、しっかりとガスは入ってるんだけど、当り方が柔らかい。
何とも艶のあるシャンパンです。


イベリコ豚に合わせ、シメにコルトンを代表する生産者「ドメーヌ・ダルデュイ(D'Ardhuy)」をグラス一杯いただき夜は更けました。
これまたトロけるくらいの上品なワイン。
このメンバーと共に何としても勝ち抜くぞ!
そして、次の日はもう一人の僕を支えてくれる頼もしい男と朽ち果てるまで飲みました。場所は「RANSEN はなれ」。
肝臓の大きな男ゆえ、ガッツリと行きました!

まずは大好きなオーボンクリマの長男の名を冠したノックス。実に広がりのある華やかで洒落たワインです。
そしてもう1本、どうしても彼に飲ませたかった市ノ瀬千代さん造るシエラ・ムーンのプティ・シラー。
プティ・シラーとは思えないシルキーで柔らかく、そしてとっても上品なワインです。

最後にグラスで1杯、カプコンの辻本憲三さんが立ち上げたワイナリー「ケンゾーエステイト」の「rindo(紫鈴)」をグラスでいただいた。rindoをグラスで出してるなんて、都内でも絶対にここだけだと思う。
最高のワインでここから先のビジネスをじっくり語った夜です。
その後のストーリもあるのですが、それはまた、別の話...(解る人には解る「王様のレストラン」より...)
久々にナイショのバー No.2な夜です。

今夜はライトなイタリアン。
チーズたっぷりでゆで卵も入ったナポリ風サラダ、日本では珍しいポッコンチーニというチーズとトマトのマリネ、タコのアラビアータソース、イベリコ豚のソテー、シメはこれまたイタリアンなチーズとベーコンたっぷりのフォカッチャ。
旨い!

そんなディナーに合わせるワインは、オレゴンのピノの名門、ソーコルブロッサーが造る幻想的なワイン『メディトリーナ』。
メディトリーナとは、ローマ神話の中でワインと健康を司る女神。
永年にわたってメディトリーナは有名なバッカスの影となってあまり世間からも知られない存在になっていたけど、ソーコルブロッサーでは紀元前からワインと健康を司ったというメディトリーナに敬意を表してこの名前を付けたらしい。
写真では解り辛いかもしれないけど、エチケットも女神の像。
このメディトリーナは、ピノ・ノワールとシラーとジンファンデルという珍しい組み合せで出来ている。ピノが 50%、シラーが 40%、ジンファンデルが 10%。
ふくよかだけど芯はしっかりしていて華やかなワイン。まさに女神・メディトリーナ。実に艶っぽい。
料理もワインも美味過ぎて、ついつい1本丸々飲んじゃいました〜

ガッツンとしたサウンドが心地よい。全曲、細野義彦のオリジナル。
このCD、僕のレーベルがマイナーだからって日本のアマゾンでは扱ってもらえなかったけど、実は米国のアプリア・レコードというジャズレーベルとクロスライセンスを交わしていて、そのレーベルから米国のアマゾンへ出品してる。
僕らはその交換でランディー・ブレッカーの二度目の若い奥様(その後二度目の離婚をしたらしい...)、サックスのアダ・ロバッティのアルバム「Under the Hat
」の配給権を得てハートノートで発売した。

あ、上のリンクは最初の奥様だった(^_^)
美味しい料理と女神なワイン「メディトリーナ」と、そして我がレーベルの代表作を聴き、幸せによった夜です。
久々のナイショのバー No.2、最高!

僕の経営する会社はいま、極めて業績が厳しい。それゆえ、2006年より5年間維持して来た福岡営業所を閉鎖する事にした。
福岡営業所の閉鎖を発表した後、福岡の関係各所へ説明に回った。博多には前夜に入ったんだけど、夕飯に選んだ先はこの5年間、大変お世話になったホテル前の屋台「はじめちゃん」。

小さな小さな屋台です。でももう20年以上やってるって。店内には無数の名刺が貼付けられてる。いろいろな人のいろいろな想いが詰まった屋台です。
まずはビールにおでん、そして豚バラの串焼き、はじめちゃん名物の魚肉ソーセージ炒め、そして最後は究極の逸品、焼きラーメン。
この焼きラーメン、キムチが入って鰹節がかかり、生卵をかき混ぜて食べるB級グルメの極み。
魚肉ソーセージ炒めはしばらく来ないうちに目玉焼きが乗るようになった! はじめちゃん、まだまだ改革してる!
もうこの屋台に来る事もなくなるね〜 まだ閉鎖までには1ヶ月ちょっとあってそれまでにいろいろな調整事では来るかもしれないけどね...

そしてその後、東京の僕の行きつけ、ナイショのバーの初代マドンナだったキクちゃんが勤めてる中州のバー「ヴェスパ」に顔を出した。
キクちゃんの元気な顔をみて、そして彼女の得意なボンド・マティーニから始まり、ブルックリン、プリマスジンで創るギムレット、そして最後のシメのシメはビトウィーン・ザ・シーツ。まさにベッドでの寝酒。
途中、共通の知人に連絡したりと、実に楽しいリラックスした夜を過ごしました。また会いたいね〜
それにしての福岡の皆さん、お世話になりました。いつか必ず会社を建て直して福岡にカムバックします! その節はよろしくお願いします!

今夜は食前酒は17世紀から続く名門アンリ・メールが造る『ヴァン・ジョーヌ アルボア 1989』。シェリーのごとき酸化熟成とナッツのような香り。食欲をそそる。
そしてメインのワインがレア物です!
日本には入って来てないパソ・ロブレスのワイン『サン・アントニオ(San Antonio)』。
ローヌブレンドの名手らしい。年末の渡米で買い付けて来たもの。詳細は不明なれど、小さな家族経営のワイナリーっぽい。

そのサン・アントニオの中でも「Artisan Series」と名付けられたラインナップの中で今夜の「Heritage」と命名されたワイン、これはシラー、プティ・シラー、ムールヴェードル、グルナッシュから造られたまさにローヌブレンドの極み。
シャトー・ヌフ・デュ・パプを思わせるようなワイン。目の詰まった密度が濃い感じはあるけど、いわゆる濃過ぎる感じの人工的な味わいじゃなく、とってもスムーズな舌触りで穏やか。
素敵なワインです!

そして合わせるジャズはこのお洒落なワインに合わせ、お洒落な作品を選んだ。
そう、洒落たサックスの演奏で有名なバルネ・ウィランの『ニューヨーク・ロマンス
』です!
ジャケットが実にソソリます。

バルネ・ウィランは映画「死刑台のエレベーター
」に参画したことで表舞台に立ったサックス奏者。この『ニューヨーク・ロマンス』に中でも「死刑台のエレベーター」のテーマ曲、「危険な関係のブルース」を演奏している。
そしてこのアルバム、実は不思議な事があります。よく見てもらうと、再発になるたびに微妙にジャケットが変わり、実は女の人の姿勢で2種類、また1つの種類の中でアルバムタイトルの表記位置が上か下かがあり、計3種類のジャケットがある。カラーとモノクロもあり、超不思議。
1つのアルバムでこれは珍しいよね〜
そんな艶っぽいバルネ・ウィランのサックスと深みのあるサン・アントニオに酔う夜です。

今夜のジャズは熱い!
シカゴ出身の骨太いテラー吹き、フランク・カタラーノが2001年にシカゴのジャズクラブ「Green Mill Jazz Club」で録音したライブ盤、、『Live at the Green Mill
』です。
バリバリと吹き上げる息吹がここまで聴こえて来る。
そして凄いことに、僕の愛するトランぺッター、ランディー・ブレッカーがゲストで出演してる!!

ランディーマニアな僕は自分のジャズレーベル「HeartNote(ハートノート)」でも彼にゲストで出演してもらったくらい、本当に大好きなトランぺッターです。
このランディー・ブレッカーに出てもらったアルバム『湊孝夫/I'm Glad There Is You』が絶版になっちゃったのがとっても残念...
どの曲もライブの熱気をそのまま伝える熱演。
フランク・カタラーノもランディー・ブレッカーも、思いっきり長回しのバリバリのソロを聴かせてくれる。
聞いてる室内の温度まで上がってしまいそうな熱演。

そんな夜のワインは、ソノマの名門、『シャトー・セントジーン 1998』。今はサントリーが経営するこのワイナリー。
実にトラディショナルで落ち着いた深みのあるワインをリリースしている。
今夜の1998年、これはもう絶品! 深く沈み込むような静けさと味わい。森の奥深くの森林浴的香り。バニラ香は控えめで、すべてにおいて上品なワイン。
このワインをカリフォルニア産と言い当てるのは難しい。ボルドーの銘酒そのもの。

世界には素敵なワインがあるものです。
今夜はシカゴのGreen Mill Jazz Clubにてフランク・カタラーノとランディー・ブレッカーの熱演を生で聴いてるかのごとく心を熱くし、そして素敵なシャトー・セントジーンに酔う素敵な夜です。

今夜のジャズはそのアマンダ・ブレッカーの「ヒア・アイ・アム
」です。
アマンダ・ブレッカーの父親は僕の敬愛する最愛のトランぺッター、ランディー・ブレッカー。
母はブラジルを代表する美人ピアニスト&ボーカリストでランディーの元妻、イリアーヌ・イリアス。

まさにサラブレッド。透明感のある歌声と温かみは素晴らしいものがある。
そして離婚したとは言え、父と母が揃って娘のデビューを見守る姿は美しい。
そう、実はランディー・ブレッカーとイリアーヌ・イリアスは離婚してます。でもこの娘であるアマンダ・ブレッカーのアルバムでは、何と二人は共演してる。こりゃ凄い事です。日本では有り得なさそう....

ちなみにランディー・ブレッカーとイリアーヌ・イリアスはアマンダが生まれた時にこの長女を記念して『アマンダ』というアルバムを出してる。
これまた楽しい作品。次回、ぜひご紹介します。
合わせるワインがこれまた凄い!
敬愛するダリオッシュの中でもまさにレア物、ワイナリーでしか買えない『Duel』。

これ、カベルネ・ソーヴィニヨン 60%、シラー 40%というものなんだけど、命名自体が凄い! Duelとは、英語で「決闘」。まさにカベルネ・ソーヴィニヨンとシラーの決闘を意味する。
エチケットも裏面の英文も、ライオンと雄牛の決闘を描いている。

実に深いワインです。味わいの複雑味と密度の濃さ。これはカベルネ・ソーヴィニヨンとシラーという組み合せから来るのか...
今夜はアマンダ・ブレッカーとダリオッシュのDuelに酔う夜です。

4月に入っても3月と何ら変わらず、度を超した激務が続いてます。
そんな心と体を休めに健康的な僕のダイニング、武千代に来た。
そしてこういう時こそ、ストレス解消には大好きなワインを飲もう!
今夜のワインは大好きな市之瀬千代 さんの造るシエラ・ムーンのプティ・シラー。
これはもう最高のワイン! 強過ぎず和食ともよく合う。渋みも少なく、ジンファンデルほど凝縮感も高くなく、実に穏やかで舌触りも滑らか。
エチケットはきっとシエラフットヒルズから眺める夜景。きっと素敵なところなんだろうね〜


ホワイトアスパラ、桜海老と生海苔の入った出汁巻き玉子など、自然そのものの味わいをシエラ・ムーンで楽しんだ。
今夜は武千代で心と体を癒す夜です。

今夜のナイショのバーは今は無きローズバンク蒸留所『ザ・ウイスキー・ソサイエティ
ローズバンク 1991』のハイボールからスタート。
ローズバンクは18世紀から続く伝統的な小さな蒸留所だったけど、惜しまれつつ1993年に閉鎖になったらしい。
でもネットで見るとまだ結構この蒸留所からのウイスキーが出回っているね。

深みとコクがあり、麦の味わいが口の中で心地よい。メイプルシロップやマーマレードのような甘い誘惑香もする。
実に素敵なハイボールです。
流れるジャズはヴィーナス・レーベル、エディ・ヒギンズの『イッツ・マジック』。2管のホーンアレンジが素敵な作品。
今夜は腹ぺこです。ガツっと食しました!
まずは何と言ってもプロシュート! 極薄に切られたプロシュート、この旨味はたまらない!


そして毎度の大和芋のローストに厚切りのパンチェッタを乗せたもの。こんなに料理が旨いバーはないと思う。最高!
これらの料理の合わせ、今夜はもう1杯ハイボール。
次なるハイボールは強烈です! 我が愛するブルゴーニュのウイスキー造りの名手、ミッシェル・クーブレイの『クーブレイズ・クリアラック』でハイボール。
シェリーの香りと甘い誘惑香を持つ素敵なウイスキー。

クーブレイのウイスキーをハイボールにしちゃうのは初体験だけど、やはり芯がしっかりしてるので、ハイボールにしても実に香り高く素敵な味わい。旨い!
ジャズは女性ボーカルへと進む。低いトーンの聴いた事ない声。誰だこれ?

答えは、韓国の女性ボーカル、ウンサンという人の『Close Your Eyes
』という作品。日本のポニーキャニオンからリリースされてる。僕はまったく初めて聴く名前と音。
タイトル曲の他、エンジェル・アイズ、アフター・ユーヴ・ゴーン、センチメンタル・ジャーニーなど、スターダードな作品を並べ、丁寧に歌い上げてる。

後でネットで調べてみたら、僕の大好きなトランぺッター、松島啓之が参加している!
もう一度、ちゃんと聴いてみたいな〜
さて、シメはトリュフとバターのソースを使った茸たっぷりの手打ちパスタ。
これに合わせるワインは、「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人
」の撮影監督マイケル・セレシンが立ち上げたニュージーランドのワイナリー、『セレシン・エステート』のレア(LEAH)という2008年のピノ。

実にトラディショナルなピノ。ブルゴーニュと見間違わんばかり。
これ、ブラインドではニュージーランドとは当らないと思う。ブルゴーニュの本家そのままって感じ。
素敵なピノでパスタも引き立つ。
最高のディナーだな〜

今夜もナイショのバーはジャズとウイスキーとワインとジャズが最高な僕の楽園です。
おやすみなさい!
全力で疾走した3月。疲れ切った3月。そんな3月が終わり、そして1つ乗り越えてまた次の課題にまみえる4月が始まる。
4月を疾走するためにも3月までの疲れをリセットしないと!

今夜は久々のナイショのバー No.2です。珍しくドイツのマドンナなんぞが空いてたので、食前酒には甘いかなと思いつつ、1杯。懐かしい味です。
僕は初めてワインに接したのは実はドイツワイン。当時、渋谷にラインガウというドイツ料理屋があって、そこで数々のドイツワインを飲む事でワインが好きになった。
そこからイタリアへ進み、全州のワインを制覇した。そして次はフランスへ進み、30代半ば近くになり、カリフォルニアに目覚め、そしてのめり込んだ。最後は自分たちでワインバーの経営にまで手を染めた。

そんな懐かしいドイツのマドンナからスタートしたが、どうも喉越しが物足らない。次なる飲み物は、トマーティン蒸留所で造られるエンシェント・クランのハイボール。初めて飲むウイスキー。上品な穀物の旨味とほのかな甘み。中々です。
物の本に寄れば、トマーティン蒸留所はロンドン北西約900Km、ネッシーで有名なネス湖にも程近い人口約500人の小さなトマーティン村にある。「トマーティン」とは蒸留所の位置する村の名前のほかに、スコットランドの古語(ゲール語)で“ネズの木の茂る丘”という意味があるそうだ。静かなる森の奥で眠るウイスキーに浸る気分は最高!

そしてメインたるワインは、ソノマのレッドウッド・クリークのピノ。カジュアルなワインだけどカリフォルニアらしくっていい感じ。でもちょっと南仏ローヌ系な凝縮感と香りがあるかな。もう一歩上品で可愛らしい味わいになるとよりいいんだけどね。まだ2009年なので、若いからかもしれない。
ちなみに「レッドウッド」とは太古からカリフォルニアに自生する赤杉。クリークとは小川。そんな自然に満ちた場所で造られるワイン。エチケットにも赤杉の森と真ん中に小川が流れてる。
これらマドンナ、エンシェント・クラン、レッドウッド・クリークを支えるジャズはビル・エヴァンス最晩年の発掘物、ロンドンのロニー・スコットというクラブでの演奏「COMPLETE LIVE AT RONNIE SCOTT'S 1980
」。

8月初旬の演奏らしい。9月15日に没してるので、まさに1ヶ月ちょっと前の貴重な演奏。
この最晩年のトリオはベースが若手のマーク・ジョンソン、ドラムスがジョー・ラバーバラという素晴らしい組み合せ。
1つ1つの響きが心にシミる。燃え尽きようとするビル・エヴァンスの疾走して駆け抜けるかのような、これまでとは一味違う演奏、それを支えるマーク・ジョンソンとジョー・ラバーバラ。最後の1ヶ月のビル・エヴァンスはこういう演奏が多い。
素敵なお酒と貴重なビル・エヴァンスのライブで人生を考える夜。ビル・エヴァンスが駆け抜けて51歳で天に召されるその歳まで、気付けば僕もあと2年。何かいろいろ想うところがあるよね〜

震災の直後の3月17日、実は東証で記者会見をする予定だった案件があった。でもさすがにあの混乱下、実施は見送った。
リベンジの記者会見が3月31日、年度末の日に東証アローズで行われた。パートナーさんの記者会見にゲストとして呼ばれた感じです。
そんな夜、この記者会見をプロデュースしたメンバーとここからの勝負に懸ける固めの杯を酌み交わした。
これからの1年に祈願するため、想いっきり素敵なワインで乾杯した。

スタートはソノマの銘酒ラ・クレマ。僕の大好きなワインです。
可愛らしいフランボワーズのような微笑ましい優しさ、柔らかい酸、そして温度が上がるにつれグラマーなボディーが艶っぽく出て来るところなど、本当に素敵なレディーという感じのワイン。
続いては、日本では割と珍しいカリフォルニアの北端、メンドシーノのジンファンデル「グラジアーノ」。干しブドウ的な凝縮し過ぎた濃さはなく、実にエレガントなジンファンデル。

そもそも北の地でジンファンデルを造ってるところが凄い。
シメは映画「サイドウェイズ」でも中心的役割を果たしたニュートンのトップキュヴェ「ザ・パズル」。最高です!
3本のワインで5人の仲間とここからの1年の成功を祈願した夜です。このメンバー、最高! 頑張るぞ!!

PS.
帰路に信頼する我が片腕と軽くもう1杯! あ、1杯じゃなく2杯か3杯!? 場所はこれまた素敵な五反田のエシェゾー。
ここも最近、グラスワインがとっても充実してて、今夜はなんとエシェゾーのすぐ下に位置する銘醸地クロ・ド・ヴージョなんかが開いてた!。
静かで素敵な僕の作戦会議場です。

久しぶりに祖先の墓参りに行った。なぜか先日、突然夢に出たんだよね...
このところ日本と僕は激震中。未曾有の大震災が発生したし、そして僕の経営する会社も大きな変革期で大激動の真っ只中。
きっと亡き母が報告を求めたんだろうな〜

そんな夜の食前酒はジュラ地方の黄色いワインと言われるヴァン・ジョーヌ、「ドメーヌ・ド・ラ・パント シャトー・シャロン 1996 (Domaine de la Pinte Chateau Chalon)」。
シェリーのように積極的に酸化熟成していて100年以上も保存可能と言われるヴァン・ジョーヌ。その中でもドメーヌ・ド・ラ・パントのシャトー・シャロンはこのAOCの代表格。
まさにシェリーです。今夜は少し冷やし目にして飲んだけど、ナッツのような香り、トースト香など、シェリーそのもの。食前酒に最適。


そして今夜のジャズはフレッド・ハーシュがビル・エヴァンスをトリビュートした作品「エヴァンセンス(Evanessence: Tribute to Bill Evans)
」。
ビル・エヴァンスを愛するフレッド・ハーシュがビル・エヴァンスの最後のベーシストとなったマーク・ジョンソンなどと録音した作品。
ヴァイブのゲーリー・バートン、ハーモニカのトゥーツ・シールマンなどがゲストで参加してるのも楽しい。

ワインは年末の渡米でサンルイス・オビスポのパートナーから贈られたサンタマリア・ヴァレーの逸品、キュペ(QUPE)のシラー。
スタンダードな畑指定の無いものは日本でも手に入るけど、いただいたこのワインは「ビエン・ナシード(Bien Nacido Hillside Estate」という畑のスペシャルキュヴェ。
カリフォルニアでのローヌ系ブドウの造りの名手、ボブ・リンクイスト氏が造るキュペ。これはほんと、旨い! ドジャースファンで常にドジャースのシャツを着てるというボブの造る果実味と旨味が溢れ出るワイン。

今夜はドメーヌ・ド・ラ・パントのシャトー・シャロンとフレッド・ハーシュのエヴァンセンスと、そしてQUPEに酔う夜です。