我が創業年の男気ある古酒を飲む夜
今夜は南仏はプロヴァンスの銘酒『ドメーヌ・ド・トレヴァロン』の1988年を開けた。1988年とは、そう、僕の会社の創業年。この1ヶ月、いろいろな事があった。金曜日に福岡にていろいろな有志の方々と出会い、そして尊敬する大先輩経営者とも飲み、この1ヶ月の諸々の事を思い返し、僕自身、もう一度創業の頃を想い出してみようと思った。そんな事もあり、今夜は創業の年のワインを開けた。
このドメーヌ・ド・トレヴァロン、最近ではテーブルワイン格で売られている。その昔、ロバート・パーカーをして「人生最大の発見だ!」と言わしめたワイン。それ以来、市場から消え失せたと言われるくらい入手難なレアなワイン。僕もこの1本のみ。
地中海沿いの温暖な地・プロヴァンスでは、シラーやグルナッシュといったブドウがメインになるんだけど、このドメーヌ・ド・トレヴァロンはカベルネ・ソーヴィニヨンとシラーの組合わせで造る。古いヴィンテージは格付けを取って売られているけど、1994年に現地の法規制が変わり、カベルネ・ソーヴィニヨンを使うと格付け指定が取れなくなった。それでも、格付け無しになってでも、自分たちのブレンドのこだわりを捨てずに造り続けている頑固なワイナリー。
なんかさ、何を言われても自分のやりたくないビジネスはやってこなかった自分、そしてある規模を超えて自分のやりたいスタイルだけなんてきれい事だけじゃ済まなくなっている自分を見ているかのような.... ワイン造りでも同じでさ、僕が蒐集しているようなレアなブティックワイナリーは家族経営だからオーナーの好きなワインしか造らないけど、上場してしまったベリンジャーなどは安いテーブルワインから上級酒まで、有り得ないくらい幅広く造らないとならない。決して創業者の想いに沿ったワインだけのラインナップじゃない。それでも企業として、ブランドとして、永きに渡って継続する事は何事にも勝る事。ビジネスって難しいよね~
さて今夜のワイン、1988年と言うと、もう20年になる。プロヴァンスの20年物は初めて飲む。さあ、どうかな~~
開けてビックリ! っ~か、ビックリしてるのは僕だけ? 南仏はローヌ地方、エルミタージュとかのワインが熟成するとブルゴーニュのようになるのと同様、この南仏・プロヴァンスのワインもまさにその通り、ブルゴーニュワインのような感じに熟成している。
色はきれいなレンガ色。金曜日に福岡で飲んだローヌの「ドメーヌ・グラムノン 1997年」の熟成に似ている。でもこちらの方が年数が経っている分、よりきれいに熟成してブルゴーニュそのもののようになってきてる。舌に柔らかく巻き付くかのような酸が美しい。でも好き嫌いはやや別れるかな。カベルネが入っている感じはまったくない。
素晴らしいワインだけど、でもこの先は未知の世界かも。何となくの感想だけど、ここがピークかな。この先は少し枯れていくんじゃないか、そんな予感をさせるワイン。もちろん現時点ではとっても美味しいんだけど、この舌に柔らかく巻き付く酸が、人生最後の輝きを放っているかのような輝き方をしてる気がする。格付けや南仏の常識など関係なく、自分たちのワイン造りにかける情熱と自負を20年に渡って誇示してきたワイン。でも太陽は確実に西に沈みつつある。三谷幸喜の言うところの「マジックアワー」がもうすぐ到来する、そんな感じの熟成具合。
プロヴァンスの長期熟成ワインを飲みながら会社の創業の頃を想う夜。よくもこんなに永きに渡りやってきたな~ ま、20年やってもこの程度、って言い方もあるしね~ 評価は難しいな。誰も誉めてくれないから今夜は自分を誉めてこのワインに浸るのだ~~ 例えテーブルワインに格下げになろうとも自分の造りを守っているドメーヌ・ド・トレヴァロンの男気に乾杯!
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