ホメイニ革命の話の後にクリュゼル・ロックの
『コート・ロティ』
月曜日は、米国大手コンピュータメーカの日本法人の元会長で、現在は経団連で活躍中の大先輩経営者にパーティーにお呼ばれした。この方はその昔、当時外為と言えば東京銀行一行だった時代に同行で活躍された方で、何とイランにも駐在した事があるそうだ。その駐在期間はわずか3ヶ月なれど、まさに3年分くらいの濃い時間を過ごしたらしい。
時は1979年、まさにパーレヴィ政権が倒れ、パーレヴィ国王は国外脱出、そしてパリに亡命していたホメイニ師が戻った頃。東京銀行が当時のイランの中央銀行に貸付ていた数十億ドルの資金が焦げつきそうになり、その方は送り込まれた。到着時は無政府状態で、小学生も機関銃を背負っていたそうだ。交渉相手の中央銀行の役人が、パーレヴィの国外逃亡の際に資金を準備した罪である日突然連行され、宗教裁判にかけられて翌朝には銃殺刑に処された。前日まで交渉していた相手が翌日には銃殺になっているという常軌を逸した世界が・・・
そんな時期にも外人、外交官などはゴルフをしていたらしい。外周、内周それぞれ9ホールずつのコースにて、外周は贅沢を罪とするイスラム宗教家たちに狙撃される怖れがあるから回らないようお達しが出ていたにもかかわらず、あるドイツの実業家がそれを無視して外周のコースでプレーをし、本当に狙撃されて命を落とした話など、聞けば聞くほど恐ろしい・・・
そんなびっくりするような話を聞いたパーティーを後にし、僕はいつものバーへ逃げ込んだ。そして、パーティーでもう十分飲んだと言えば飲んだので、あと少し、美味しいワインを軽く飲みたくなった。開けたのは南仏はローヌ河流域地帯の最北部、名門クリュゼル・ロック(Clusel Roch)の造る『コート・ロティ』2000年のハーフボトル。親子3代に渡る伝統ある小規模家族経営のワイナリー。畑はコート・ロティーの中でも北部のグランド・プラスと呼ばれる南東向きの区画。
開けてみると2000年とは思えない熟成感! エルミタージュの古酒のような輝きとブルゴーニュと見間違うばかりの華やかな酸が何とも素敵なワイン。まだ8年なのになぜか歴史、時の経過を感じる。
ホメイニ革命の生々しい話を聞いた夜に古き良き時代の輝きを感じるワイン。ペルシャがイランと国号を改称したのはわずか73年前の1935年の事。イランがペルシャ帝国と言われていた時代を思ったりして、何とも感慨深い夜だ・・・
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