オレゴンの星『ドメーヌ・ドルーアン』
食前酒『コナンドラム』に続いて開けた昨夜のワインはオレゴンの星、ドメーヌ・ドルーアンのトップキュベ、ロレーヌ(Domaine Drouhin Laurene 2000)。
いま米国オレゴン州はブルゴーニュに対向するピノ・ノワールを使ったワイン造りが盛ん。そのトップを走るのがこのドルーアン。フランスはブルゴーニュのトップブランドで、1880年から続いている名門ジョセフ・ドルーアン。この4世代目当主がロベール・ドルーアンが愛娘、ヴェロニク・ドルーアンを送り込んで立上げたのがこのオレゴンのドメーヌ・ドルーアン・オレゴン。そしてそのヴェロニクが一番いい出来のワインに名付けたのは自分の愛娘の名前、ロレーヌ。つまりはブルゴーニュのロベールからすれば孫娘の名前。
このトップキュベ、素晴らしく美味しい。昨年の大晦日もこのワインで1年を締めくくった。ブルゴーニュで言えばヴォーヌ・ロマネ地区のワインが味わいとしては一番近いかな。熟したぶどうの感性はこのオレゴンのドルーアンの方が強い。鉄分や表現は悪いけど血のような香り、獣の香りなどを裏側に隠し持ちながら、かつ果実が熟した豊潤な誘惑香もする、ほんとうに素晴らしいワイン。昨年木箱で1ケース、調達した。僕が仕事する業界の尊敬する大先輩のある社長さん、元々はガッツリとしたカベルネ系がお好みなんだけど、ある時レストランでこのドルーアン/ロレーヌの1994年を飲んだ途端、ピノに目覚めたようで、ほんと、オレゴンのトップクラスのワインには人を感動させる力がある。1994年に天皇陛下が訪米した際、ホワイトハウスでクリントン大統領が天皇陛下に献上したワインがこのオレゴンのドルーアンらしい。
ただし昨夜飲んだワインは、開けた際にコルクの上面(キャップシール側)が妙に黒ずんでおり、コルクの状態があまりよくない嫌な予感がしてた。飲んだ感じとしては、コルクによる偏見、先入観もあるかもしれないけど、大晦日に感動した熟したふくよかさが薄いような気がした。1月5日にブログにも書いたサンタバーバラのスーパーなピノ・ワイン、ヒッチングポストを飲んだせいもあり、そっちに引っ張られてるのかもしれないけど、昨夜の状態はヒッチングポストに負けてたかな。大晦日は完璧だったんだけど。ま、その時の体調や気分、合わせる食べ物にもよるしね。昨夜はトマトのスープに鶏肉のオリーブオイル焼き。本当はイタリア系か南仏物の方がよく合ったかもね。でも美味しいワンを飲むと幸せな気分になる。
このオレゴンのドルーアン、お父さんであるロベールがある時思い立ってプロジェクトをスタートさせた。ワインってさ、専門用語でテロワールって言うんだけど、その土地の土壌や気候などにより味が形成される。素晴らしいワインが出来たといって、その隣の畑を買い増してぶどうの樹を植えても中々同じワインは出来ない。超高価(100万円以上)のワインとして有名なロマネ・コンティは超狭い畑なんだけど、その周辺の畑のワインはもちろん美味しいけどロマネ・コンティにはどうやっても追いつけない。ワイン造りは不思議だね。で、ロベール・ドルーアンは自分のワイン造りをもっともっと事業として広げたかったんだけど、そもそもブルゴーニュという地域自体、地図で見るとわかるけどとっても狭い小さな地域。既にぶどう栽培に向いた土地はすべて開拓されていてそう簡単には新しい土地は手に入らない。そこで思い付いたのが、世界中を調査してブルゴーニュと同じような土壌と気候の土地を探す事。1960年代からオレゴンに目をつけて調査を続け、ついに1988年、オレゴンに土地を入手しワイナリー設立にこぎつけた。そしてカリフォルニアでワイン造りを勉強した娘のヴェロニクを送りこんで立上げた。
仕事をしていると、数々の障壁にぶつかる。例えば社員の数ってそんなに簡単に劇的に増やすことって出来ない。そうすると今ある戦力で出来るビジネスはこれだけって簡単に諦めてしまいがち。でもロベール・ドルーアンなら、東京で人の採用が難しいなら地方や後進国に事業所を立上げてでも人を確保して事業を広げよう、って思うんだろうね。すごいバイタリティーのある人だと思う。事業を営む僕としてはとっても尊敬します。
PS. このドルーアン、とっても繊細なワインです。ジャバっとデキャンタージュとかしないこと! パニエに入れて静かに大ぶりのグラスに注ぎ、ゆっくりとお飲み下さい。
ドメーヌ・ドルーアン・オレゴン
(輸入元による公式サイト)
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