『パリスの審判』

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この本は、「ワインと言えばフランス」と今でも思っている人、そしてカリフォルニアワインをあまり飲んだことのない人にぜひ読んでもらいたい本です。

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まだフランス以外のワインはまったく評価されていなかった1976年、歴史的な出来事が起きた。パリの地でフランスワインとカリフォルニアワインをブラインドテイスティングして評価しようというイベントだ。アメリカ建国200周年を記念したこのイベント、フランスのワイン界やマスコミからはまったく相手にされず、当日取材に来たマスコミはただ一人、タイム誌のパリ支局特派員、ジョージ・テイバーだけだった。その彼自身による執筆。2006年にこの歴史的なイベントから30年経った事を記念して再度フランス vs. カリフォルニアのブラインドテイスティングが催されたが、それを記念しての出版。

日本版の副題は「カリフォルニア・ワイン vs. フランス・ワイン」、帯には「カリフォルニア・ワインがフランスを破った日」とたいそうに仰々しく書かれているけど、この本の本質はその勝負にあるんじゃない。1950~1970年代、まだワインの未開の地であったナパ・バレーでワイナリーを苦労して立上げた面々の歴史を丹念に拾い上げてまとめているところに価値がある。ユーゴスラビアから何ヶ月もの苦難の旅を続けてナパ・バレーに辿り着いた移民のマイク・ガーギッチなど、数名の苦労人が主役。

ガーギッチはこの本の主題である1976年のイベントで白ワインの部でフランスを破ったシャトー・モンテレーナの醸造責任者になってこのワイナリーを世界に送り出した。そして今では自分のワイナリー、ガイギッチヒルズを主宰している。85才になってもまだ血気盛んにワイン造りに励んでいるらしい。彼の生まれ故郷クロアチア(当時はユーゴスラビアの支配下)では実はワイン造りが盛んだった。貧困な国クロアチアを脱して西ドイツを目指した彼はそこでビザが切れて難民となり、そこから苦心の末に9日間の船旅を経てカナダに上陸し、そこからさらにまた苦難の道を経て計8ヶ月もの時をかけてナパ・バレーまで辿り着いた苦労人。これを読むとシャトー・モンテレーナガーギッチヒルズともにおいそれと気軽には飲めないなと思う。マイク・ガーギッチの苦難を読むとほんと、心して飲まないと! 我が家にもわずかなストックがあるけど、しばらくは保管かな。

その昔、アメリカの大手ソフト会社でベリタスって会社があった(現在は買収されてシマンテック社)。ここの経営陣が大のワイン好きで、毎年クリスマスの頃に世界中の取引先にベリタスブランドのワインを日ごろの取引きの御礼に配っていた。毎年、違うワイナリーから調達したワインのエチケットの上にベリタスブランドのエチケットを上から貼っていた。僕のその当時ベリタス社と取引きがあったので毎年そのワインをもらってたんだけど、ある年のベリタスワインがあまりに旨く、エチケットを注意深くはがしワイナリーをチェックした。それがガーギッチヒルズだった。これが僕の初めての『ガーギッチ体験』。熟れた果実の凝縮感に圧倒された記憶がある。

この『パリスの審判』から10年後の1986年にはニューヨークの試飲会で、そして時を経て2006年に開かれた30年ぶりの対決でも、やはりカリフォルニア・ワインはフランスを破った。勝ったこと自体はどうでもいいんだけど、どっちが上とかではなく、カリフォルニアには美味しいワインがたくさんある事を知ってもらえると嬉しいな~ 飯山ユリさんが「カリフォルニアワイン as ナンバーワン」という本を書いているけど、深く掘り下げるとカリフォルニアには本当に美味しいワインが実にたくさんある。僕は2001年~2002年、友達とカリフォルニアワインをメインにしたレストラン経営に手を染めた事があるんだけど、まだその当時の日本ではカリフォルニアワインの地位はあまり高くなかった。そんな中で本当に美味しいカリフォルニアワインを日本に紹介したのは僕たちのレストランだったって自負がある。いつかは再開したな~

という事で、ワイン好きな方、ぜひこのドキュメンタリー本、ご一読あれ!

PS. 速報ですが、この本が映画になったようです。『Bottle Shock』という映画。

映画『Bottle Shock』公式サイト

YouTube にアップされている予告編(こっちの方がサクサク見れます)

30年後の再戦『ボルドーVSナパヴァレー、再びカリフォルニアの勝利』
(読売新聞)

パリスの審判』の書籍のサマリーのようなページ

ガーギッチヒルズガーギッチさんが写ってます!)

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This page contains a single entry by Keiichiro Katayama published on 2008年1月20日 14:19.

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